AIや無料ツールでページは作れる
AIや無料のホームページ作成ツールを使えば、コーポレートサイトらしいページは作れます。
会社名を入れ、業種を選び、サービス内容を入力すれば、トップページ、会社概要、サービス紹介、問い合わせページのような構成は自動で出てきます。テンプレートを選べば、見た目もある程度整います。
これは入口としては便利です。
何もない状態から、会社サイトらしい画面が出てくる。文章もあり、写真枠もあり、問い合わせ導線もある。小さな会社にとって、最初のたたき台として役に立つ場面はあります。
ただし、ページができることと、会社サイトとして安心して公開できることは別です。
会社の中身を整理する仕事は残る
AIや無料ツールが苦手なのは、会社の中身を読み解くことです。
何をしている会社なのか、どのサービスを前に出すべきか。どの情報は古いのか、どの実績なら載せてよいのか。問い合わせ前の相手が何を不安に思うのか。
これは、単なるページ生成ではありません。会社情報の編集です。
「御社の強みは何ですか?」と聞かれて、すぐ答えられる会社ばかりではありません。特に中小企業では、強みは日々の仕事の中に埋まっています。
だから、質問を丸投げするのではなく、既存の資料、名刺、会社案内、SNS、Googleビジネスプロフィール、過去の取引内容を見ながら、外に出すべき情報を整理する必要があります。
AIの文章はそのまま使えるとは限らない
AIが作る会社サイトの文章は、自然に見える一方で、抽象的になりがちです。
たとえば「お客様に寄り添い、最適なソリューションを提供します」「地域社会に貢献する信頼のパートナーです」「高品質なサービスで未来を創造します」といった表現です。
間違ってはいません。けれど、どの会社にも当てはまります。
会社サイトに必要なのは、きれいな言葉よりも実態に合った言葉です。何に対応できるのか、どんな相談が多いのか、どの地域で仕事をしているのか、問い合わせる前に何を確認できるのかを具体化する必要があります。
AIが出した文章をそのまま載せるのではなく、会社の実態に合わせて削り、並べ替え、必要な説明を足す編集が必要です。
問い合わせフォームは置くだけでは足りない
会社サイトでは、問い合わせ導線が重要です。
ただし、フォームを置くだけでは十分ではありません。本当に届くか確認する必要があります。
Googleフォームの通知先は正しいか、送信テストをしたか。回答は誰が見るのか、問い合わせ後に誰が返信するのか。迷惑メールに入らないか、個人情報の取り扱い文言はあるか。
AIや無料ツールは、フォームの見た目までは作れます。しかし、通知先の確認、送信テスト、問い合わせ後の運用までは自動で保証してくれません。
「フォームがある」と「問い合わせが届いて対応できる」は違います。
ドメインやメールを壊さず公開する必要がある
ホームページ公開では、ページ以外にも確認すべきことがあります。
独自ドメイン、DNS、Cloudflare、Google Workspace、SPF、DKIM、DMARC。ここを雑に触ると、サイトだけでなくメールに影響することがあります。
中小企業では、ドメインやメールの管理状況が曖昧なこともあります。誰が契約しているのか、どのサービスで管理しているのか、DNSを変更してよいのか、Google Workspaceのメールが止まらないか。
これはデザインとは別の実務です。
AIや無料ツールでページを作れても、公開時にドメインやメールを壊さないように確認する作業は残ります。
脆弱性対策は別に考える必要がある
AIや無料ツールでサイトを作るときに見落とされやすいのが、脆弱性対策です。
特にWordPressのようなCMSを使う場合、本体、テーマ、プラグインの更新が必要になります。問い合わせフォーム、予約機能、SEOプラグイン、ページビルダーなどを増やすほど、管理する部品も増えます。
更新を放置すれば、脆弱性リスクが上がります。一方で、更新すれば必ず安心という単純な話でもありません。表示が崩れる、フォームが動かなくなる、プラグイン同士が干渉することもあります。
つまり、サイト公開後には、更新、バックアップ、復元、表示確認、セキュリティ設定まで含めた運用が必要です。
AIや無料ツールでページが作れても、脆弱性対策まで自動で面倒を見てくれるわけではありません。
運用負荷も含めて選ぶべき
会社サイトは、公開して終わりではありません。
営業時間、サービス内容、会社概要、採用情報、お知らせ、実績、問い合わせ先は変わります。公開後に誰が更新するのか、どこまで自社で触るのか、どこから外部に頼むのかを決めておく必要があります。
無料ツールなら簡単そうに見えても、担当者が使い方を忘れたり、ログイン情報が分からなくなったり、更新できる人が退職したりすることがあります。
WordPressなら管理画面がありますが、保守、更新、バックアップ、セキュリティ対応が必要です。静的サイトなら保守負荷は軽くできますが、更新方法を別に決める必要があります。
大事なのは、どのツールが有名かではありません。その会社が公開後に運用できるかです。
検索に認識される準備も必要
会社サイトは、公開しただけで検索に出るわけではありません。
Search Consoleに登録する、Bing Webmaster Toolsを設定する。サイトマップを用意する、noindexになっていないか確認する。会社名やサービス名が適切に入っているか確認する、OGPや共有時の表示も見る。
高度なSEO施策以前に、まず検索エンジンに認識される準備が必要です。
AIや無料ツールはページを生成できますが、検索登録や公開品質の確認までは別の作業として考える必要があります。
まとめ
AIや無料ホームページ作成ツールは、会社サイトの入口としては便利です。見た目や文章のたたき台を短時間で作れるため、何もない状態から始めるには役に立ちます。
ただし、会社サイトとして使うには、ページを作るだけでは足りません。事業内容の整理、掲載情報の判断、問い合わせフォームの確認、ドメインやメールへの影響、検索登録、スマホ表示、脆弱性対策、公開後の更新方法まで見る必要があります。
問題は、AIや無料ツールが悪いことではありません。
大事なのは、公開前後の確認を誰が持つかです。問い合わせは届くのか、メールは止まらないのか、検索に認識される準備はあるのか、更新や保守は続けられるのか。ここを人間が確認して初めて、会社サイトとして安心して使える状態になります。
