概要
カラムナ型DBとは、データを行ではなく列単位で保存・処理するデータベースです。
英語では Columnar Database や Column-oriented Database と呼ばれます。日本語では、列指向データベース、カラム型データベースと呼ばれることもあります。
一般的な業務システムでは、1件の顧客、1件の注文、1件の在庫データのように、行単位でデータを扱うことが多いです。一方で、カラムナ型DBは、大量のデータから特定の列だけを読み、集計や分析を行う用途に向いています。
カラムナ型DBの基本
通常の業務データは、行単位で見ると分かりやすい構造になっています。
顧客データであれば、1人の顧客に対して、ID、名前、年齢、都道府県、購入金額などの情報が並びます。注文データであれば、1件の注文に対して、注文ID、顧客ID、商品ID、数量、金額、注文日時などがまとまります。
このように、1件分の情報をひとまとまりとして扱う考え方は、業務システムでは自然です。
カラムナ型DBは、同じデータを列ごとに扱いやすい形で保存します。年齢の列、都道府県の列、購入金額の列のように、同じ種類の値をまとめて扱います。この違いによって、得意な処理が変わります。
行指向DBとの違い
行指向DBは、1件のデータをまとめて登録、更新、取得する処理に向いています。
顧客IDを指定して、その顧客の名前、住所、電話番号、購入履歴に関わる情報を取り出す。注文が入ったときに、1件の注文データを登録する。ユーザーが住所を変更したときに、そのユーザー情報を更新する。こうした処理では、1行分の情報をまとめて扱える方が自然です。
一方、カラムナ型DBは、すべての列を読む必要がない分析処理に向いています。たとえば、数億件の購買データから都道府県ごとの売上合計を出す場合、主に必要なのは都道府県と購入金額の列です。
行指向DBでは、行全体を読みながら必要な列を取り出すことがあります。カラムナ型DBでは、必要な列だけを効率よく読みやすいため、大量データの集計で有利になる場合があります。
分析に強い理由
カラムナ型DBが分析に強い理由は、必要な列だけを読めることです。
分析では、すべての情報を使うとは限りません。売上合計を出したいときには金額の列が重要です。地域別に集計したいときには地域の列が重要です。月別に見たいときには日付の列が重要です。
つまり、分析処理では、何億件ものデータがあっても、実際に使う列は一部だけということがよくあります。
カラムナ型DBは、このような処理に向いています。必要な列だけを読み、集計し、分析できるため、データ量が大きくなるほど強みが出やすくなります。BigQuery、Amazon Redshift、Snowflake、ClickHouse などは、こうした分析用途で使われる代表的な技術として知られています。
圧縮しやすく、読み込み量を減らしやすい
カラムナ型DBには、データを圧縮しやすいという特徴もあります。
列ごとに保存すると、同じ種類の値が並びやすくなります。都道府県、ステータス、商品カテゴリ、会員ランクのような列では、似た値や同じ値が何度も出てきます。
同じ種類のデータがまとまっていると、圧縮しやすくなります。結果として、保存容量を抑えたり、読み込み量を減らしたりできます。
大量データを扱う分析基盤では、保存容量と読み込み量はコストにも関わります。特にクラウド上の分析サービスでは、読み込むデータ量が料金や処理時間に影響することがあります。そのため、カラムナ型DBの圧縮しやすさは、実務上のコスト管理にも関わる要素です。
すべての用途に向いているわけではない
カラムナ型DBは便利ですが、万能ではありません。
1件ずつ頻繁に登録、更新、削除する処理には、行指向DBの方が向いている場合があります。ECサイトの注文処理、ユーザー情報の更新、在庫数の変更、ログイン情報の管理などです。
これらの処理では、1件のデータを正確に登録し、必要に応じてすぐ更新することが重要です。業務システムの中核では、整合性やトランザクション処理も重要になります。
カラムナ型DBは、大量に蓄積されたデータをまとめて読み、集計し、分析する用途に向いています。日々の業務トランザクションを直接処理するデータベースとして使うより、分析用のデータ基盤として使われることが多いです。行指向DBとカラムナ型DBは、どちらが優れているかではなく、目的が違います。
実務では使い分ける
実務では、業務システムの本体には行指向DBを使い、分析基盤にはカラムナ型DBを使う構成がよくあります。
日々の注文、顧客管理、在庫管理、申請処理などは、行指向のRDBMSで処理します。そのデータを定期的に分析基盤へ送り、売上分析、顧客分析、広告効果分析、アクセスログ分析、BI、AI活用前の集計などに使います。
このように、業務を動かすDBと、分析するDBを分けることで、それぞれの得意な処理を活かせます。
大事なのは、カラムナ型DBを流行の技術として見ることではありません。大量データの中から、必要な列を読み、集計し、傾向を見つけるための仕組みとして理解することです。
まとめ
カラムナ型DBとは、データを列単位で保存・処理するデータベースです。
行指向DBが、1件のデータを登録、更新、取得する処理に向いているのに対し、カラムナ型DBは、大量データから必要な列だけを読み、集計・分析する処理に向いています。
特に、売上分析、アクセスログ分析、BI、データウェアハウス、AI活用前のデータ集計などで力を発揮します。ただし、すべてのシステムをカラムナ型DBにすればよいわけではありません。日常業務を動かすDBと、分析するDBは役割が違います。
カラムナ型DBは、業務データを大量に蓄積したあと、その中から意味のある傾向を取り出すための分析向けデータベースとして理解すると分かりやすいです。
